内村鑑三『日本および日本人』
明治二十七年

では、彼(西郷隆盛)の生涯を支配した二つの思想、
(一)統一帝国と、(二)東アジアの征服という、
この二つの思想は、どこから来たのであろうか?
王陽明の哲学を論理的に追求すれば、
このような思想に達することは考えられる。
・・・・『キリスト教は陽明学に似ている。
日本帝国崩壊の因をなすものはこれだろう』と、
維新史に名高い長州の戦略家、高杉晋作は、
長崎で初めて聖書を調べた時に叫んだ。
キリスト教に似たあるものが、
日本の再建にあずかって力あったということは、
日本の維新史上の驚くべき事実である



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