おうの宛書簡
おうの宛書簡

慶応2年、長崎から出した書簡。
おうの宛のモノはこの1通しか残っていない。


おうのとの
  無事
一筆申し遣し候、そな[た]事も無事にてめでたく存じまいらせ候。
われらも無事長崎に罷り居り候間、卸きづかい下されまじく候。
このたび伊藤さま御帰りに付、何も御じきに御聞き下さるべく候。
かねて申し置き候事相まもり、しんぼうかんにょう(肝要)にござ候。
人になぶられぬ事かんにょうにござ候。
たんぜん袷送り候間、せんたくをして御送り下さるべく候。
伊藤さまへ相頼みおき候間、拾両御請取下さるべく候、
われら事もしんぼういたし候間、そなたもしんぼうかんにょうござ候。
しゃしんおくり候間、御請取下さるべく候。
色々申し遣したくござ候えども、先ずおしき筆とめ、あらあらかくの如くござ候。
めでたくかしこ。
        四月五日
尚々、風を引かぬようにようじんかんにょうに存じまいらせ候。かしこ

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